FG Premium Report 11月29日号(喉元過ぎれば熱さ忘れて良いのか?)

INDEX

日本の感染状況は世界的にも特異な状況

悲観にも楽観にも走り過ぎず、ただ冷静に数字を見極める

先週前半までの世界の金融市場は新型コロナウイルスのことなど全く忘れたか、或いは「これで人類は新しいウイルスにも打ち勝った」と傲慢になったかの展開をみせていた。それが証拠に、ZOOMビデオコミュニケーションズ(ZM)に象徴されるパンデミック関連銘柄は軒並み売られていた。ZOOMは現地22日の本市場引け後に決算を発表し、市場予想は実績、ガイダンス共に市場予想を上回ったにもかかわらず、翌日の本市場では一時最高値の550ドル台からおよそ65%も値下がりした水準にまで売り込まれたりした。それだけ市場は新型コロナウイルスのことを無視し、或いはFRBが決めたテーパリング開始や来年の利上げを安易に「元通り」になる「予兆」と受け止めていたようだ。ここだけの話、正直に本音を言わせて貰えば「だからロシアや東欧から始まって、欧州、そして世界的に新規感染者数は増えてきていますよ」と言っていた。オーストリアはロックダウン迄に至った。

上記がこの一週間の日米各株式市場の騰落率だが、日米共にこのマイナス騰落率へ転落は金曜日のほぼ一日で達成している。それは木曜日に「南アフリカで再感染リスクが高い新型変異種「オミクロン」が発見され、これがとても危険だと報じられたからだ。

ただここでひとつ注意をしておきたいのは、下落の値幅でその程度を図らないことと、認識しないことだ。同じ比率の変動でも、当然分母が大きければ結果の数値幅も大きくなる。マスコミはこれを適当に使い分けて、よりインパクトが強いように伝えようとするが、それは変動比率で行わないと、正確な市場分析が出来ないのは自明の理。そうしてみると、値幅は分母がこの1年、2年で急速に膨らんでいるので大きくなって当然だが、比率はある意味では大したことないとも言える。

そしてやはり背景事情やその状況を正確に把握するためには、まずパンデミックの状況がどうなっているのかを常に正確に把握するように努めるべきだ。それには一番手っ取り早いのがいつものジョンズホプキンス大学が公表している感染者、死亡者、ワクチン接種者のデータを参考することだ。ご記憶だと思うが、今年初めに市場がワクチン接種が進むことで「もうコロナは大丈夫」と楽観した時があった。だが結局は思ったようにならずに市場は再びパンデミックと対峙した。当時もデルタ株のブレークスルー感染というような話で大騒ぎになったが、その兆候はしっかりと予め確認出来た。ある意味では今回も事態は全く同じだ。是非ご自身でこのWebページにアクセスして頂き、今後も利用するようにすることをお勧めする。

悪い話ばかりでは決してない、寧ろ安易に走った方が悪い

投資は「普段は慎重すぎるほど慎重に、そして必要な時だけ生き馬の目を抜く素早さで変わり身する」というのが成功への鉄則だと信じている。このメリハリが大事で、最悪なのが日和見に強気になったり、弱気になったりすること。多くの場合、「ノイズ」に振り回されて考えがまとまっていない場合が多い。今回はそれでも普段は冷静な米国債券市場でさえ振り回されたようだ。それはFRBがテーパリング開始を始めたことで「利上げ不安」が債券市場に走っていたからだ。それを端的に証明するのがこの一週間のイールドカーブの動き。週末にイールドカーブは下方にドリフトダウンした。

赤いラインが週末26日、黒いラインは立ち合い日数で言えば、僅か3営業日前の11月23日だ。サンクスギビングが終わって、ブラックフライデーに浮かれて買い物でもしようと思っていたボンド・トレーダーはさぞかし慌てたことだろう。全体の時系列変化も見ておこう。金利水準は再びテーパリングが決定する前の水準にまで押し戻された。

ジェローム・パウウェル議長の再任が決まり、これで利上げが2022年でも前倒しになると景気回復に楽観的なシナリオを描いていた人はさぞ腰を抜かしていると思う。少なくとも欧州であれほどまでに感染者数が増加し、事実オーストラリアが再度ロックダウンとなった以上、常識的に考えてそのまま単純に「ポスト・コロナ」が訪れると考える方が無茶だ。その意味では、南アフリカの「オミクロン」は「デルタ株」より怖いかも知れないが、既に事象としては既存のコロナが拡大しており、「オミクロン」は単に「まだまだだよ」ということを認識させてくれただけかもしれない。

ついでにもうひとつの朗報は原油価格の急落だ。日米中が国家戦略備蓄の原油を放出してまで値下がり安定を企図した原油価格だが、何のことは無い、これで再度需要が低下すると考えられて価格は週末に急落した。68.15ドルと70ドル割れを見るのは9月初旬以来だ。

早々に景気回復と旧来の日常回帰を想定した投資に舵を切ってしまっていた人には厳しい展開が再び訪れるのかも知れないが、少なくとも加速し始めていたデジタルトランスフォーメーションの流れは再度燃料補給されることになるだろう。さすがにこれで「簡単に人類がウイルスに打ち勝てる」という根拠なき自信は打ち砕かれた筈だ。

株価とボラティリティの関係は正しく維持されている

今回の下落を冷静に受け止めることが出来るのは、きちんと株価とボラティリティの負の相関関係が維持されているからだ。言い換えると、急落しなければならない状況に接して、市場はきちんと驚き、恐怖を覚え(VIX指数:恐怖指数)、ヘッジにも走っているからだ。これが何もなくズルっと下落する時が時々あるが、その場合は戻りが悪い。だが少なくとも今回は「ちゃんと驚いている」ことが確認出来る。

まずは恐怖指数こと米国のVIX指数。ご覧頂ける通り、一気に跳ね上がったVIX指数は見ていて気持ちが良い。まだもう何段階かの下げがあるかも知れないが、ファンダメンタルズ的にはそうならないであろう根拠もある。

続いて日本市場。こちらも綺麗にインプライド・ボラティリティは立ち上がっているが、欲を言えば、もう少し上昇して欲しかった。実感としては「なんで下落しているのか?」を把握出来ていない市場関係者が多かったように思われる。実は結構な人数から照会があったからだ。「大島さん、なんで今日は下落しているんですか」と。正直、リアルタイムでその「真の理由」が分かる程、私も全能なわけでは無く、聞かれるたびに困惑するのだが、彼ら/彼女らが問い合わせてくるということは、情報不足なのか、意味不明なのだ。従って次のアクションが起こせない。その結果、インプライド・ボラティリティの上昇がもうひとつ弱いという結論になる。インプライド・ボラティリティはオプション価格からの逆算になるので、実際にヘッジするアクションが市場で起きない限り変わらない。そういう意味だ。

その意味では日経平均もTOPIXもほぼ等しく下落したのでNT倍率も動いていない。単なる全面安だ。だとすれば、この先に状況は変わる可能性が高い。

息を吹き返したパンデミック銘柄

冒頭で記した通り、市場がコロナ感染に関しては過去のものとして安易に次のストーリーを模索していたことが明らかなのは、このところZOOMに象徴されるパンデミック銘柄が弱含んでいたからだ。一般に「投資家はこの時期、節税目的や運用成績を良く見せるためアンダーパフォームしている資産を手じまい、押し目買いも渋る」と言われ、また最近は米国市場では個別銘柄オプションの拡がりも手伝って、一方通行の動きが加速する地合いがあるが、それにしてもZOOM(ZM)やクラウドストライク(CRWD)、或いはドキュサイン(DOCU)と言った銘柄群の動きはネガティブがきつ過ぎた。だが市場全体が大きく下落する中で、これらの銘柄は逆行高を演じた。

それには理由がある。ZOOM(ZM)の決算発表のプレゼンテーション、それに続くアナリストとの質疑応答を見ていても確信したのだが、まだ市場は「All or Nothing」でリモート・ワークのことについて考えているようだ。つまり、FRBが利上げを始める頃には皆「Back to office」だということ。何もかもが元に戻って、余計な設備投資や利用料は払わなくなるというものだ。

だが人間は一度手に入れた利便性を二度と手放したりはしない。日本の首都圏の「痛勤電車」に限らず、例えばシリコンバレーのサンタクララやサンノゼにサンフランシスコから通うとすると、約50マイル前後をフリーウェイ101号線を使っても、早朝で2時間近く(渋滞があるので)もドライブしないとならない。子供を保育園に送り届けてから会社に向かうとなると、更にそれ以上に時間が掛かり、当然夫婦間で役割分担はするにしても、当番の方は夕方に一度は迎えに行かないとならない。リモート・ワークならばその手間がなくなる。更に、サンフランシスコ・ベイ・エリアの不動産は高騰してしまったが故、高いレントや高いお金を払って不動産を取得する必要もリモート・ワークなら無くなる。そう、もっと住み易いエリアに引っ越してしまえば良いのだ。実際にこの流れが米国の住宅市場をずっと押し上げてきた。それは今まで事情とは違う内容だった。

生活拠点を移してしまった人が「オフィスに戻ってきてください」と言われて「はーい」と簡単に戻る程、状況は単純ではないのも事実だ。だからこそ、オフィスに戻ることを大切だとするアルファベットのCEOもハイブリッド型を良しとしている。また、かの投資銀行でさえ、JPモルガンなどはオフィスの床面積を減らしている。それは全員が戻ることを前提としていないということだ。明らかに「コロナ前の古き佳き時代」にそのまま戻るという選択肢は既に無いということだろう。

にも拘らず、市場は一旦は元に戻るかの如くの動きを演じた。それには「金利上昇はグロース株には不利」という「分かったような理屈」がしたり顔に語られるストーリーも手を貸した。すなわち、そうした関連銘柄を買うよりも、景気回復で恩恵を受けるというシナリオに当て嵌めやすく、金利上昇する局面で買われるという小理屈を付けやすい業種・業態の買いだ。それが今回巻き戻される可能性が示唆された。それがZOOM(ZM)やクラウドストライク(CRWD)、或いはドキュサイン(DOCU)と言った銘柄群の戻りだ。これらは注目に値するだろう。

金利上昇は本当にGrowth銘柄には不利に働くのか

「金利上昇は株式のリスクプレミアムを減らす方向に働くので、Growth銘柄にとっては不利になる」という理屈をよく耳にはするが、実はこの尤もらしいご高説を私自身は納得したことが無い。言わんとしていること、その気持ちまでも汲めないわけでは無いが、これをどう論理的に説明することが出来るかと言えば、尤もらしい割にはどこか破綻している理屈になる。

株価を一株当たりの純資産で割り算したのがPERだ。ひとつの計算、一回の計算で答えが出る数値なので「一株利益の○○倍で株は取り引きされている」と理解されるが、私も最もオーソドックスな気に入っているバリュエーション指標ではあるが、腹の底から得心している指標ではない。何故なら、株価は企業の解散価値が根源的な価値だという前提に立てば、一株当たりの当期利益は、解散価値を引き上げるための原資にはなるが、それ自体はまだ株主配当や役員賞与などの利益金処分以前なので、解散価値の向上には全額は役に立たないからだ。

実はこのPERの逆数、すなわち一株当たりの利益を株価で割ったものを「株式益利回り」と呼ぶが、これと市中金利を比較したものを「イールド・スプレッド」などと呼ぶ。そしてその多寡で株価が割高だとか、割安だとか判断する投資手法というか、投資概念があるのだが、簡便に金利水準と比較する何か数値を考え出したのとしても、果たしてこの数値にどんな意味があるのかともう何十年も思っている。この「株式益利回り」だが、PERの逆数ということもあり、当然高成長銘柄のPERは高く、その逆数である「株式益利回り」は低くなる。それと市中金利水準と比べて金利の方が高く、益利回りの方が低ければ株価が割高だということになる。だとすれば、高成長銘柄、所謂グロース株はバリュー株よりもPERは高く、高配当銘柄でも無いことから、益利回りはそもそもからして低い。そこに金利上昇が重なれば益々分が悪くなるのだが、原点に返って「益利回り」ってどんな意味があるのだろうか?

ここに一枚のチャートをお見せする。S&P500の1962年からの上昇の軌跡を示した「対数チャート」だ。お伝えしたいことはただひとつ。1962年から約60年間、米国株式市場はほぼ一貫して上昇しているという事実。確かにITバブルやリーマン・ショックのところにコブはあるが、ほぼ一貫して上昇している。対数チャートにしているのは変化率を確認するためだ。

次にもう一枚のチャートは同じ期間の米国国債の金利推移で1年物と10年物だ。黒い方が1年国債、赤い方が10年国債の金利推移だが、4%前後のところから始まって、見事に1981年に向かって1年物で17%台、10年物で15%台まで金利スパイクしているのがよく分かる。そしてその後は一貫して40年間、金利は低下し続けている。ならば前半に株価は上昇していないのかと言えば、きちんと上昇している。最近市場が神経質なのは1.6%に乗せた、1.7%になったと言ったごまめの歯ぎしり程度の金利変動でしかない。そもそも益利回りなる考え方が不思議な考え方だが、歴史的金利がここまで上昇しても株価は上昇している。これが全部成長力の無いバリュー株の水準訂正で齎されたとは四方や思うまい。つまり金利上昇でグロース株は売られるというのは、一種常識のように語られている都市伝説のようなものだとも思っている。

 

右肩上がりのビジネス・トレンド

「OCULUS QUEST 2」を手に入れて使ってみた

前回、「まとめ」の部分において、「いい加減な情報や誤解が市場を席巻すること。この手の話は過小評価も駄目だし、過大評価も駄目だ。そういう状況を排除するためにはどうすればいいか。最善策は自分で使ってみること。試してみることだ」とお伝えしたが、無事、真新しい新品の「OCULUSS QUEST2」がamazonからデリバリーされ、早速使ってみた。その印象をまず最初に一言で言ってしまえば「これは凄いことになる」というのがポジティブ・サイドのインプレッション。ならばネガティブ・サイドは何かといえば「使える人と、使えない人の差がますます拡大していく。デジタル・デバイドは更に進む可能性がある」ということ。ただ「ゲームに使うもので、自分のアバターがちょこまか走り回るアニメみたいな世界だろう?」という、今までの自分たちの経験や体験の中で類似効果を想像してそこに押し込める想像力の無さでは、決してこれの価値は見出せないだろう。謂わば、今現在でも恰好な比率で老若男女でいる「僕/私はガラケー派。SNSとか、LINEとか、面倒くさいから使わない」と言っているタイプと同種の人になるだろう。

下記が私が購入したものの本体だ。書き込みでストラップが直ぐに壊れるとか、作りがちゃちだというのが散見されるが、恐らくそれは前モデルに対するものかと思う。写真で確認出来るようにストラップ類は布製になっているので「割れる」ということは無い。ただやはりちょいと重い。

これを頭にかぶって、前が見えない「水中メガネ」(スキューバダイビングの世界では「マスク」と呼びます)のようなゴーグルを頭からかぶるところからドラマは始まる。頭のストラップは、上下方向にも、周囲方向にも調節可能で、頭がかなり大きく、尖がっている(居るかなぁ?)ような人でも不自由なく使える。私は子供頃から頭でっかち(62センチ)で苦労したが、何の問題もない。

そして下の写真が、コントローラーで、左手用と右手用がある。この辺はベーム経験がある方が使い易いだろうとは思うが、慣れれば直ぐに誰でも使えるようになるだろう。これを使って、ゴーグル内に展開する世界で物を操作する。

装着してみて私が非常に困ったのがメガネだ。老眼(遠視)、近視、乱視と3色揃えた私は日常生活ではメガネが無いと身動きが出来ない。そのメガネを掛けたままにゴーグルは装着出来るし、ある程度はそのことも考慮されているが、不便でもあり、また私の場合はメガネが曇ってしまって非常に困った。ただ調べてみると、既に数多のアクセサリー類が市販されている。その中で視力補正レンズが販売されていた。私は左目を-2.00、右目を-3.00とコンタクトレンズの禁止補正よりも一段弱いものを選んでみたが、乱視や老眼項目は無くても特に問題なく、バッチリと前が見えるようになった。

片目が1688円で度数は選ぶことが出来る。注文の翌日に届くのはさすがamazonと言った感じだ。ご参考までに下記にそのURLを付けておくので、ご参考にして頂ければと思う。

ということで、私の装備はあっという間にこんあ感じになった。投下資本は約4万円。メタバースを正当評価することが出来て、投資成果が上がれば、当然のことながらこの程度の金額はあっという間に回収出来る。そして何より、デジタルデバイドの「使える側」で居ることが出来、最先端技術の面白みを味わうことが出来る。

ゴーグルの中の世界はどんな感じか

まず当然のことながら、ゴーグルを掛けてしまうと下界は全く目に入らない。スイッチを入れた直後の感じは、ちょうどディズニーランドの「スペースマウンテン」に乗ったかのように、暗闇に立体的に存在する宇宙空間に放り出されたような錯覚を覚える。最初の設定はやや手間取るかも知れない。自宅のWiFiとの接続、或いはスマホとの接続などもあるからだ。また当初は「メガネ+ゴーグル」だったこともあり、非常にやり難かった。最初からこの度付きレンズを入れることをお勧めはする。

さて、諸々の設定が終わると、先ほどまでは「宇宙空間」のような感じだったものが、何やら和風の広大なお屋敷の中にいる。右を向いても、左を向いても、振り向いたり、上を見たりしてさえも、あたかも自分がいる場所はその空間であるかのように、360度形式が変わる。目の前の空中にコントローラーらしきものが見え、それを先ほどのグリップのような操作機器を使って操作し、背景を雪山のリゾートロッジのような世界にしてみた。ソファーに寛いで楽しんでいると、それはあたかも本当にそのロッジのソファーに座っているかのように感じられるから非常に不思議だ。画面の中の世界で、宙に浮いた操作パネルに「Netflix」があったので操作してみると、私の居場所は映画館に変わった。どうやらシアターの椅子は赤いらしい。そして目の前で、リアルな映画館で言うと前列10列目ぐらいに陣取って映画を観るような感じで楽しむことが出来る。当然、そこでも360度見渡すことも出来る。音はゴーグルから直接発せられるので、臨場感向上には更に一役買っているだろう。将来的に仮想通貨などで課金出来るようになれば、封切り映画でもここで楽しむことが出来るだろう。ここまでの没入感は驚く程で、ゴーグルを外して家のリビングに居ることを思い知った時は、かなりな絶望感があった。

そして本題のひとつは、自分のリアルなパソコンの持ち込みだ。設定には少々手間取ったが、パソコンのモニター画面が目の前に広がり、マルチスクリーンにすれば、空中に2枚のスクリーンが映し出され、片側にExcel、もう一方にエクスプローラーを表示するというようなツインモニターの環境を作り上げることも出来た。当然私のいる場所は、先ほどの雪山のロッジだ。ロッジで寛ぎながらパワポやExcelを操作している。もしこれで何らかのプレゼンを受けることが出来たら、Excelの細かい文字も読むことが出来るので、プレゼンのスタイルも変わるかも知れない。

まだゴーグルを手に入れたばかりで、アバターを使った世界は体験していないが、メタバースらしいSNSや共有空間のような体験もしていない。ただ実際にこれが普及すると、人間はかなり怠惰な生き物に変わるのかも知れないとさえ思ってしまった。

またダンスコンテストの動画のようなものが直ぐに観れるようになっているのだが、その臨場感は中々のものだ。恐らく審査員のような位置づけで目線が設定されているのだと思うが、ダンスをする人がこちらに踊りながら迫ってくるシーンは、最後は後ずさりしたくなる感じさえある。その位にリアルだということ。実はここにこの手の世界の大きな発展性を見つけてしまった。

かつてSONYがPlaystation3を発売した時、それを爆発的にヒットさせた最大のドライバーは本来のゲームでは無かった。実はPlaystation3の初期モデルはDVDが再生可能なようになっていて、当時はまだ高価だったDVDプレイヤーを別途購入しなくてもDVDを楽しむことが出来、そのDVD普及に一役買ったのは普通の映画ではなく「大人向け」の映画であったというのは非常に有名な話だ。その実例を当て嵌めると、恐らくそうした使い方もVR/ARの世界の普及に一役買うだろうと思われる。それこそが太古の昔から人類不滅のコンテンツであることだけは誰も否定出来ないことだからである。またパンデミックという特殊な状況は、よりそうしたニーズを掻き立てるかも知れない。

とは言え、まだまだ未成熟な始まったばかりの世界なことは確かだ。ゴーグルを長時間付けていることは、少なくとも私には出来ない。やはりまだ目が疲れるからだ。だがゴーグルを外して現実世界の景色に戻った時に何やらとても寂しい気持ちがするのも事実だ。そして我が家の家族にも試させてみたが、家内も含めて、皆が「凄いねぇ。面白い」と称賛していた。是非、「メタバース関連銘柄」なる如何わしいセールストークに乗って、よく分からないと感じながら投資を始めるぐらいならば、この程度の出費を惜しまずにご自身で「メタバースのはじまり」を体感して、その可能性を評価して見て欲しいと思う。そしてその時の評価を記録しておく。自分自身の先見の明は正しいのか、間違っているのか、きっと将来、恐らくそう遠くない将来にその評価は役に立つだろう。

まとめ

テーパリングは出来ても、利上げまで本当に出来るのか?

FOMCでFRBがテーパリングを11月から再開することを決めた頃、まだ世界の新規感染者数は横ばいで、ロシアが増え始めており、それが徐々に東欧圏に拡がりつつあるという段階だった。ドイツ、或いは英国は徐々に増え始めていたが、警戒感を高める程度で今ほどはシリアスでは無かった。

その一方で燃料価格の高騰やサプライチェーンの目詰まりなどがあり、米国の物価はCPIもPPIも上昇傾向を顕著に示していた。それは従業員を削減した業種にとっても、急激な需要回復に対応するために高くても雇用しなければ回らないという現状があり、コストプッシュの原因にもなった。ロスアンゼルスの港湾労働者の不足なども問題となり、全てが物価を押し上げる要因となっていた。だから物価上昇は一時的と言いつつも、テーパリングを開始して、利上げも視野に入れてというアナウンスメント効果も考えながら、インフレの過熱を抑えようとした。この策自体は正しいだろう。ホリデーシーズンを控え、米国では小売りの最大3/4程度が売れるとも言われているホリデーシーズンを大過なく乗り切るためには、金融当局としては準備してるという姿勢を示すことは非常に重要なことである。

ただ欧州の新規感染者数の増加は、恐らくFRBの予想を上回っている筈だ。今や直近28日間(4週間)の新規感染者数の発生数では世界第二位のドイツ。ドイツの人口は8324万人と言われているので、日本のちょうど2/3しかない人口で、足許28日間で114万人もの新規感染者を出している。同期間の日本は僅かに4468人、実は累積でも173万人程度なので、ドイツが今いかに大変な事態になっているかは想像に難くない。いや現実を想像することは日本に居る我々には不可能だ。日本の死者は累計で18353人だが、ドイツは既に10万人を超えている。表現に語弊があるかもしれないが、発展途上の新興国の話ではなく、ある意味では最高の技術力を持つとも言われるドイツでこの現実に直面している。英国もロシアも、人数的には似たような状況にある。要は欧州はかなり元の木阿弥状態になっていたところに、南アフリカで新種の変異株「オミクロン」が誕生してしまった。それは呑気だった米国市場も肝を冷やしただろう。この構図はCovid-19というウィルスが話題になるようになってから、幾たびか繰り返されてきたシナリオだからだ。

オーストリアのようにロックダウンを志向する欧州の国は増えるかも知れない。気がついてみると、隣国韓国も大変な事態になっている。日本に居るとメディアの騒ぎ過ぎと実体の乖離に辟易とするが、今のドイツは一時期のインドの様かもしれない。そんな状況を押し切って、米国は利上げ出来るのだろうか?歴史は過去米国が利上げをすると、新興国の何か国かで金融絡みのトラブル、若しくはハッキリ言ってクライシス(危機)が起こることが証明されている。その事態もある程度は覚悟の上で、米国はする時にはするという国には違いないが、それがそう遠くない時を予見しているかは分からない。寧ろ利上げの可能性は後ろ倒しになった、下手をすれば、テーパリングをも一時中断せざるを得ない状況があるかも知れない。ただ今、それは断定出来ない。ただ明らかなことは、少なくとも先週末頃まで考えられていたストーリーは組み立て直しということだ。

その一方で、技術革新の波は続いている。メタバースについて、実際にFACEBOOKのOcuras2というゴーグルを購入して試しているが、VR/ARの世界だけでも充分な将来性を明らかに感じざるを得ない。確か問題点があるとすれば、きっと生身の人間はどんどん怠惰になっていくだろうということだ。自分自身はソファーの上に居ながら、世界中を旅することが出来、いずれは世界中の友人知人とアバターを使った世界で国境や物理的な距離を超えて、コミュニケーションすることが出来るようになるからだ。会社の同僚や上司や部下とハグしたいとか、特殊なニーズが無い限り、リアルに物理的な距離を詰める必要は無いであろう。バーチャルで構わない筈だ。

こうした状態を作り出すことは、寧ろ今のような状況の方が安定的にニーズがあるだろうと思われる。すなわち、技術開発が後押ししながら、このビジネス・トレンドは右肩上がりに昇っていくだろう。インターネットの普及が加速し始めた時、それがどうなるかを豊かに想像出来る人が勝ったのと同じだ。

 

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