FG Report Premium 2019年3月18日号

INDEX

所感/雑感

先週(3/11~3/15)は前週末対比でハイテク株のリードが相場全体を支えたようだ。詳細は下記の通り。

ひとつ確実に言えることは、中国の全人代で景気判断がどうなろうと、米国の雇用統計がどうなろうと、以前からお伝えしているように「技術のロードマップ」は嘘をつかないということ。

つまり、AI、5G、IoT、自動運転、エッジコンピューティングと言った流れは、後戻りはしないということ。その底流には人間の欲望と、限り無い技術開発の流れが綿々と続いている。だからそれは歴史も証明している。

iPhoneが初めて世の中に登場したのは2007年6月末。日本導入は翌年2008年6月。リーマン・ショックは2008年9月。さて、iPhoneの成長にリーマン・ショックの影は差したのだろうか?答えはNoとしか言いようが無い。

今週も毎日、市場関係者の景気見通しに対する悲観論を横目で見るように、各種メディアには5種類のキーワードは飛び交った。その結果が上記株価指数の動きに反映しているのだろうと思う。

「木を見て森を見ず」と昔はよく言ったものだが、最近は「森ばかり見て、木を見ていない」投資家が増え過ぎているというのが率直な印象。更に言えば、森(マクロ)の話を出来る人は多いが、木(ミクロ/個別企業)の話を出来るメディアもコメンテーターも殆どいなくなったということだ。多分、技術評価などが出来る人は業界から激減してしまった。

代わりに幅を利かせているのが、マーケット評論家、エコノミスト、為替コメンテーターなどだ。米国の雇用統計やPMI(Purchasing Managers’ Index:製造業PMIのことで、いつの間にか、米国、日本、最近では中国のものまで「市場は気にしている」と頻繁に解説されるが、あくまでも業況感の指数で主観性が強い)などを聞いて、いきなり個別銘柄の投資判断のためにそれを役立てるのには、あまりに無理がある。

米国企業がマクロからの見方で株価を戻しても、日本企業の同種の株価の戻りが悪いのは、情報が玉石混淆で、ミクロからの視点が弱いからだとも思う。ただそれら株価はいつか修正される筈だ。

週末15日、会社四季報2019年2集(春号)が発売された。個人投資家でも株式投資をする上では是非とも持っていて欲しい一冊。年に4回季刊として発行される。マネー雑誌などと違い、自分で銘柄を決める上でもとても参考になる情報が継続的に更新されている。

注目の右肩上がりのビジネストレンドとトピックス

スペイン・バルセロナで先月末に開催されたMWC(モバイル・ワールド・コングレス)に関するフォローアップ的な記事がメディアによく出て来るようになった。

そのひとつがCNN Businessニュース。内容的には私からすると何も目新しい情報は無いのだが、ひとつ勉強になったのが「まだそんなに時間軸を長く取れる程に一般への5Gに対する情報/認識は普及していない」ということ。今週、日経新聞でも5G関連銘柄について株式市場としての記事がいくつか見られたのも同じ意味だろう。

これには2つのインプリケーションがある。ひとつは当然まだまだ適切な関連企業の株価はそれらを織り込めていない筈、という当然の話。もうひとつは「あまり先走っても、5Gの果実が株価に反映されるよりも、マクロ景気のすったもんだに左右される隙がまだいくらでもありそうだ」ということだ。

ど真ん中の銘柄ならばまだ良いが、少し派生的なものにはまだまだ投資市場の注目はあつまらないだろうという事。これはチャンスがあるという意味では無く、まだタイミング待ちでアイデアを温めるべき銘柄も多いという事だ。

こういう認識は極めて大切なこと。また一方で、大変面白い事を言っている。それが”5G is good but 6G is better,”(5Gは良いけれど、6Gはもっと良い)という一文。大手メディアの記事で6Gを語ったのは初めてみたような気がする。

VWグループが2028年には電気自動車を2200万台生産すると、現状の1500万台から大きく上方修正。自動車の電装化という大きな流れの中で、完成車メーカーの上げる狼煙の意味は大きい。この話で恩恵を受けないMF10Cの銘柄はひとつもない。

株主となってその企業と一緒に夢を見たいと思う会社10選

*上記表について:日本株、米国株からそれぞれ上限を5銘柄として絞り込み、ひと銘柄当たりの投資余力を10百万円として、株数を計算。売買手数料は証券会社によって違うので考慮していない。ビジネストレンドや各企業の状況により適宜入れ替える。ロスカット、益出しルール等の設定はしない。

個別の企業に関わるニュース・コメント

① 住友電工

新四季報のトーンは、若干ダウン。「着実増」から「小幅増益」となる。但し、既に株価は18/3月期実績の一株当たり純資産1973円を大きく割込んでいる。
https://test.fundgarage.com/4384/

 

② デンソー

新四季報は「増配」から「反発」に変更。四季報予想の19/9月期及び20/3月期は若干の下方修正。キーワードは「中国で米系向け減速」ということか。但し、予防安全やパワートレイン向けはトヨタ軸に拡大と読み、米国向けも電動化や自動運転向けの生産増で投資継続とあり、大きな流れに変化は起きていない。

https://test.fundgarage.com/4386/

 

③ ローム

新四季報では「上振れ」が「高水準」に変更。四季報予想の19/9月期及び20/3月期は若干の下方修正。四季報予想の18/12月期の一株当たり純資産は7240円と前期末より順調に増加している。産機向け減速とあるが、パワートレイン向け電装関連県庁とあり、デンソーのそれと符合する。SiCパワー半導体のことと考えられる。

https://test.fundgarage.com/4415/

 

④ 村田製作所

新四季報では「上振れ」が「続伸」へ。コンデンサーの値上げが寄与して採算改善とあるが、値上げ出来る立場にあることが重要。スマホ向けは鈍調ながら、車載向け数量増とある。やはり見立てた流れに変化はない。四季報は20/3月期を売上見通しを引き下げるも利益予想は上方修正、EPS予想は1008円から1102円へ引き上げ。

https://test.fundgarage.com/4418/

 

⑤ ソフトバンクグループ

新四季報では「後退」から「最高益」へとし、大幅増額としている。

同社は19/3月期の会社予想を公表していないが、四季報予想が大幅増額、EPSが750.8円から1743円へと約2.3倍へ、同様に20/3月期も約2.2倍へ修正。同社の決算説明会の内容にそのまま感化されている感じが否めないが、普通の増額修正レベルではない大幅修正がされている。

https://test.fundgarage.com/4420/

 

⑥ Nvidia

チップメーカーのMellanox(メラノックス)を69億ドルで買収することを正式に発表した。同社はサーバー/クラスタ高速インターコネクトのInfiniBandおよびEthernetコントローラ技術・製品を手がけるイスラエルのハードウェアベンダー。AI/ディープラーニングやハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)ニーズの高まりから成長を続けていた。

今回の買収によって、NVIDIAのGPUコンピューティングプラットフォームにメラノックスの高速相互接続技術が加わる。NVIDIAは、「コンピューティング、ネットワーキング、ストレージのスタック全体にわたってデータセンター規模のワークロードを最適化し、顧客のパフォーマンス、利用率の向上、運用コストの削減を実現していく」としている。

メラノックスが手掛けるいわゆるインターコネクト技術は、最先端のデータセンターネットワークの性能面での制約を解消することができる。これはクラウドサービスの時代、極めて重要なマーケットだ。

https://test.fundgarage.com/4422/

 

⑦ Western Digital

3/14にWD Blue SN500 NVMe SSDを追加し、NVMe製品のパソコンへの普及促進を狙う。消費者が求めるより高速で応答性の高いコンピューターのためパソコン業界では、SATAからNVMeプロトコルへの移行が進んでいる。

コンテンツクリエイターは、4Kや8K映像の編集、コンテンツの作成や配信、社内での膨大なデータの管理など、業務が増大している。これらに対する同社の新しい打ち手であり、大きな負荷のデータファイルを、より高速にストレージできるようになる。

https://test.fundgarage.com/4424/

 

⑧ Xlinx

日経新聞も3/15に”5G関連銘柄の株価は上昇が目立つ。「通信用半導体を手がける米ザイリンクスの決算が好調で、割安な日本の5G関連銘柄にも物色の照準を向け始めている」”と外資系運用会社のコメントを取上げて記事にするほど注目を集めているようだ。ただ、通信用半導体という表現にはかなり違和感を覚える。同社はFPGA半導体のNo.1企業である。

https://test.fundgarage.com/4426/

 

⑨ Applied Materials

比較対象とされ易い大手半導体製造装置メーカーの東京エレクトロン(8035)に対する新四季報の見通しは、20/3月期が18/3月期並みまで減速する見通し。

ただ①株価は既に織り込んでいると2017/11/10の高値23875より約40%下落の水準にあること、②データセンターの需要見通しは分析者により悲観的過ぎるものがあることなどから、同じ状況にAMATがなるとは考え難い。

https://test.fundgarage.com/4428/

 

⑩ Check Point Software Technologies Ltd

NSS Labsが実施した2019年の次世代エンドポイント・セキュリティ(AEP)テストにおいて「Recommended(推奨)」評価を獲得したことを発表した。

NSS Labsはサイバー・セキュリティの独立系テスト機関であり、事実重視の評価姿勢から世界的に高い信頼を得ている。今回はHTTPと電子メールの脅威検出率100%、高度な検出回避機能を備えたマルウェアの検出率100%を達成し、誤検出もゼロだったため「Recommended」という評価を獲得した。
https://test.fundgarage.com/4430/