関連銘柄探しの旅 米国株 ③

INDEX

よく投資信託のファンドマネージャーが企業訪問年間●●社とアピールしているのを見ることもあると思います。個人の投資家であってもこのようなビジネスショウに足を運ぶことで、技術担当者から直接、競合企業との違いやボトルネックになっていることなどを聞くことができ、準備された企業訪問より意味がある情報を得ることがあります。

直近のビジネスショウでインスパイヤされたのは、日系企業だでは村田製作所とロームだという事は「日本株編」の方で紹介しましたが、外国株としては、ザイリンクスの他に、ウェスタンデジタル(WDC)、アナログデバイセズ(ADI)、STマイクロエレクトロニクス(STM)、それとインフィニオン・テクノロジーズ(IFX)があります。ただSTマイクロエレクトロニクスとインフィニオン・テクノロジーズは米国株ではなく欧州株になってしまうので更に日本の個人投資家の方にはハードルが高くなってしまうように思っています。

とはいえ、車載という点から今回のビジネストレンドの追うならば、少なくとも内容は要チェックです。パワー半導体分野ではインフィニオンが、その他の車載半導体などの分野ではSTマイクロエレクトロニクスが非常に強いのは自動車の国ドイツだから当然ですよね。あっちにはメルセデスベンツがあり、フォルクスワーゲンがあり、BMWやポルシェだってあるし、安全技術という話ではボルボも忘れられない存在だからです。そして何より、自動車部品メーカーとしては世界最大の独ボッシュAG(非上場)があります。(因みに、上場されている自動車部品メーカーとしては、当然デンソー(6902)が世界最大です。)半年に一度はドイツにも出張して企業調査をしていましたが、上に掲げた企業は毎回すべて訪問していました。

ザイリンクス(XLNX)は更に奥が深い

ザイリンクスは調べれば調べる程、以前よりもずっと奥が深くなっていること感じます。
取り分け、先週のエヌビディアのプレゼンを聞いた後なので、下の図を見ると「うーむ、GPUも危うしか」と思ってしまったりもします。


今週のFGプレミアムレポートの中で、同社のアップデートとして、高速コンピューティングをネットワークインターフェースカード上で直接実行できる先進のSmartNICのことについて触れましたが、ザイリンクスはAI Applicationの世界でもアクセラレーターの商品開発を行っています。

MF10Cの中の2銘柄がトップクラスでデットヒートを繰り広げているという感じなのかも知れません。何せまだまだ戦国時代は始まったばかりなのですから、こういう時、決めつけることは寧ろ危険だと思われます。

ウェスタンデジタル社

注目のビジネストレンドの中で、どうしてデータストレージの会社が注目されるか不思議かも知れませんが理由があります。

ウェスタンデジタル社が何をしている会社かと言えば、元々はHDD(ハードディスク)のメーカーだったのですが、東芝と仲違いしたSanDiskを買収して、HDDとフラッシュメモリーの両方を生産する総合データストレージ企業に生まれ変わったというのがひとつの見方です。

ですが、現状を知るにはやはり同社の最新Webページを見て頂くのが一番だと思いますので、以下にURLをご紹介します。日本語ページがちゃんと用意されています。(https://www.westerndigital.com/ja-jp

トップページから、私が説明するまでも無く、いきなり面白そうな話(私の感性での話です)やキーワードが羅列されています。例えばこれ。


「2時間の映画を3.6秒でダウンロード」とか、「3D NAND垂直のイノベーション」など、直ぐにその詳細というところをクリックしてみたくなりますし、「データ準備がビジネストランスフォーメーションにつながる」なんていうのも、その下の文字列と併せてワクワクしてしまいます。

高速ストレージの重要性とは?

会社のパソコンで、Windowsの立ち上げ時や、データをセーブする時、或いはセキュリティ・パッチを当てて更新作業が行われている時に「遅いなぁ、時間かかるなぁ」と思われたこと、ありませんか?

あれって、勿論、ネットワークの問題を含めて色々な要因が考えられるのですが、案外大きいのがハードディスク(以下、HDD)の書き込み速度が原因であることが多いです。遅いのです。古い、安価なモデルだと、よりその状況は酷くなります。もしそれと同じ状況がデータセンタの中で起こったとしたら、或いは自動運転中の車の中で運転中に起こったら、どうなるのでしょうか?

私が自分のノートPCのハードディスクを最新の半導体ベースのSSDに変更したら、極めてストレスが無くなったということをご案内したことがありますが、それが正にこれです。圧倒的にSSDの方が、書き込み速度が速いのです。


(私が載せ替えたノートパソコンの中身です。右がSeagateの2.5インチHDD、左がSamsungのSSDです。右から左の状態になりました。)

この書き込み速度に関するソリューションが上の二つの問題の共通項です。ひとつ目が書き込み速度、それ自体の話で、もうひとつがデータストレージとの通信/ネットワークの対応がソリューションとなります。

Western Digital社の新製品の話で、NVMe製品の話もMF10Cの方でアップデートさせて頂きましたが、データを書き込み貯蔵するストレージと、それを使って演算するCPUの部分は、サーバーやパソコンの中で別々のパーツとして存在し、マザーボード基盤やケーブルを介して繋がっています。僅かな距離ですが、そこでのデータの通信速度が現在非常にクリティカルな状況になっています。

昔、と言っても2000年まで戻れば充分ですが、パソコンを開けると「平打ちうどん」のように平べったく幅の広いケーブルがあったのをご存知の方も多いと思います。IDEケーブルなどと呼ばれました。それがいつの間にか「きしめん」程度の太さのもの変わりましたが、これはSATAケーブルと呼ばれます。どちらも主としてHDDやDVDドライブなどをマザーボードに接続するためのケーブルですが、IDEとか、SATAというのは、その通信規格を意味しています。IDEからSATAになっただけで随分と高速化したのは事実です。

しかしHDDから世代交代していくようにSSD(Solid State Drive)と呼ばれるフラッシュメモリーベースのストレージ、つまりHDDの様に物理的に回転する記録媒体に書き込むというものから、半導体にデータを書き込むものに置き換わって、それが徐々に普及するにつれ、SATAという通信規格でさえも、その通信速度が遅いと思う時代が来てしまいました。それはSATAがHDDを基準に考えられた規格であった為、その限界性能もHDDへの書き込み速度を大きく超える必要がなかったのです。

そこで最近は半導体ベースで書き込み速度が速いSSDは、マザーボードに直接取り付ける方法が主流となりつつあります。それがNVMeという規格です。最近のキーワード、レイテンシー(遅延性)が抜群に改善されました。残念ながら英語版しか無いのですが、写真なども豊富についているので、是非下記URLを開いてみてください。「世界初のハードディスクドライブから3D NANDの最近の進歩まで」というとても興味深い内容になっています。(https://www.westerndigital.com/company/innovations/history)

自動運転時代のクルマのデータストレージの需要は?

「ソリューション:自動車および輸送:データが未来を支える」というページに行くと、「2022年までに1台の自動運転車に最大1TBのストレージが搭載されることが予測されている」とあります。

の皆さんのクルマがテラバイト単位のデータをストレージしていることはまず有り得ません。多分カーナビの地図データでさえ、DVDで売買出来る容量ですから4.7GBの整数倍程度でしょう。ただ、今後どんどん自動運転などの普及に併せて要保存のデータ量はうなぎ登りに増加し、そこにはかなりな高速で超低レイテンシーなストレージが求められることは必然です。

何故なら、その地図データに関して今想定されている利用方法は、リアルタイムで自車が走行してセンシングしたものを使って、より正確な状態になるように地図を書き加えていくというものですから。クルマが走れば走るほど、データの量は増えていきます。

IoT及びエッジコンピューティングの世界のデータストレージの需要は?

下のようなページもありました。もうこれは言うまでも無く、IoTというのは、すべてのものがインターネットに繋がるのですから、そのセンサーなどがデータセンタに送るデータの量は想像もつかない量になります。2020年までに507.5ZB以上のデータが生成されると書いてありますが、それって、来年の話です。まだまだ物語の入り口での話という事です。


データストレージの世界には多くの企業がありますが、HDDやフラッシュメモリーそのものを作っている企業は数が限られています。HDDで言えば、今やWestern Digital社のまともにライバルと思われるのはSeagate社ぐらいなものでしょう。

フラッシュメモリーの市場シェアで言えば、ウェスタンデジタルは現状第2位か第3位というところで、第一位はSamsung Electronicsになるのですが、Samsung社は同時にDRAMも作っています。DRAMも不可欠なメモリーではありますが、揮発性メモリーと言って、電源を落とすと記憶が無くなるタイプなので、HDDに変わってデータをストレージ(貯蔵)するという意味での需要は増えません。だからこそ、DRAMはパソコンやスマホの売れ行きに非常に需要が左右され、価格が下落し易く、経営が難しいのです。日本の大手総合電機メーカーがDRAM事業から撤退に過去追い込まれたことはご承知の通りです。

ビッグデータについて

AIとか、ディープラーニングとか、IoTとか、自動運転とか、それらは全て「ビッグデータ」の存在を肯定するものです。

最後にビッグデータについて考えると、どうしてもデータストレージという問題は極めて重要なものとして技術ロードマップの真ん中に出て来ざるを得ません。Western Digital社のWebページの中で、この点についてまとめているページがありました。下記のページです。(https://www.westerndigital.com/ja-jp/solutions/big-data


AIが自動で、自分でディープラーニングにして、勝手に賢くなっていってくれるのならば、それはより多くのデータの中をAIが駆けずり回った方が成果は上がる筈です。それも書き込み、読み出しが早く出来れば出来るほど効果的な筈です。

このページは是非開けてみて、スクロールダウンしながら読んでみてください。

これら色々なことを加味して、データストレージに関わるど真ん中銘柄としてWestern Digital社をMF10Cに加えました。