FG Report Premium 2019年3月11日号

INDEX

所感/雑感

先週(3/4~3/8)は前週末対比日経平均株価が△2.67%、NY市場がダウが△2.21%、Nasdaqが△2.46%の下落となった。週初月曜日こそ高かったものの、その後の4営業日は連日の下げ、急に悲観論が頭をもたげたようである。

話題は米中貿易戦争と全人代、そしてこれらを受けた景気減速懸念からの半導体関連銘柄の下落である。きっかけとなったのは米国でマイクロンテクノロジー(MU)がある調査会社のネガティブなコメントで5%下落したこと。

別のコラムで説明している通り、半導体には多くの種類があり、マイクロンはDRAMを中心とするメモリー半導体の会社。今注目のビジネストレンドの中では実はDRAMは全く蚊帳の外。日経新聞もそうした区別なくルネサスを中心に半導体市場悲観論を連続して取り上げた。そもそもルネサスの問題は業界の問題では無く、個社の経営能力の問題。正直、記事を読んでいていい加減なまとめ方には怒りさえ覚えた。

先週から「会社四季報先取り」というちょろ出しがネット上で始まっており、このネタをはやして個別に動いている銘柄があった。デンソー(6902)などは正にその被害者なのだが、良いものが安く買えると考えると、それも天の恵みかと考えることも出来る。

世界第2位のGDPの国の成長率が6%以上もあるという事を悲観するのは不思議だ。ECBは2019年の欧州経済成長見通しを引き下げたが、それは1.7%から1.1%という低水準下での話。これと比べると6%という重みも違って見えて来ると思うのだが、悲観論の人達には今は差がないのかも知れない。

金曜日に発表された米国の雇用統計は、来週物議を醸すかもしれない。何故なら、2月の非農業部門就業者数は前月比2万人増(市場予想は18人増)と急減速した一方、失業率が4%から3.8%へ低下し市場予想と一致したからだ。更に平均時給は前年同期比で3.4%の増加と10年振りの高い伸びである。これは多いにエコノミスト達のディベート欲求を刺激するだろう。

ただ、正直今のこれら数字はあまり当てになるとは言えない。日本の厚労省の統計データの話とは路線の違う話だが、①米国政府機関の閉鎖が非常に長かったこと、②とんでもない寒波に米国が襲われていること、などを合わせて考えなければならないからだ。是非とも、海外メディアの情報になるべく多く接することを推奨したいと思う一週間であった。

注目の右肩上がりのビジネストレンドとトピックス

一部前述したが、正直驚いたのが、未だに「半導体」というのは唯一無二のものとして日本で一番と考えられている経済誌さえも取り扱っているということだ。

例えば、エヌビディアとマイクロンは作っているものが共に半導体だが、敢えてたとえ話をするとすれば、前者が「高級ブランドジャケット」を専門とし、後者が単価が安い「ファストファッション」の服を作っている会社で、それらひとくくりにして「服が売れない」と騒いでいるようなものだからだ。共通するのは「布の反物」(シリコンウェーハ)から、切り出して縫製する(回路を作り込む)ということだけで、用途も、値段も、客層も全く異なるものだからだ。

残念ながら、この誤解が一掃されるまでは、MF10Cで選んでいる銘柄も、時々余計な嵐に巻き込まれる時は続くのかも知れない。ただ、安い時は「買い時」ということになると思うだけなんだが、振り回されるのは気分が良いものでは無い。

株主となってその企業と一緒に夢を見たいと思う会社10選

*上記表について:日本株、米国株からそれぞれ上限を5銘柄として絞り込み、ひと銘柄当たりの投資余力を10百万円として、株数を計算。売買手数料は証券会社によって違うので考慮していない。ビジネストレンドや各企業の状況により適宜入れ替える。ロスカット、益出しルール等の設定はしない。

個別の企業に関わるニュース・コメント

① 住友電工

米国の2月の乗用車・小型トラック販売、前年同月比2.8%減の126.5万台という報道が、自動車関連全般に足枷となっている。日本の2月の新車販売、前年同月比1.2%増の47.9万台では数値が小さいか。
https://test.fundgarage.com/4384/

 

② デンソー

デンソーについては、どうも「四季報先取り」で今期見通しで弱気なコメントが書かれたようで、それをきっかけに売られた感じがある。問題無し。

https://test.fundgarage.com/4386/

 

③ ローム

ひとつの大きな注目点はSiCパワー半導体。自動車のEV/HV化のみならず多くの電装化の部分で大きな役割を果たす。しかし現状世間の主役は通常のシリコンベースのパワー半導体で、この分野でロームは殆ど目立たない。

トップ企業は独インフィニオン。ただSiC化は不可逆的な流れであり、その最大の課題と言われるSiCウェーハの安定供給に関して、ロームはその企業を既に買収して内製化している。とは言え、半導体の区別がまだついていない状況では、実際に再度決算数値などをリアルに示さないと揺さぶられるのも致し方ないのかも知れない。

https://test.fundgarage.com/4415/

 

④ 村田製作所

通常比較対象とされる太陽誘電(6976)の値動きが良いので、My四季報で比較してみると、既に太陽誘電は割高になってしまっており、村田製作所はまだ上値余地が大きい。更に言えば、過去の収益状況のボラティリティが太陽誘電の方が高く、11/3期以降に2期赤字を計上しているのに対して村田製作所は安定しているのを再評価。

https://test.fundgarage.com/4418/

 

⑤ ソフトバンクグループ

https://test.fundgarage.com/4420/

 

⑥ Nvidia

米国カリフォルニア州サンノゼにおいて3月18~21日、「GPUテクノロジー カンファレンス(GTC)2019」を開催すると発表した。「GTC」は、エヌビディアが主催する世界最大規模のAI開発者カンファレンス。

主要なテーマは、自動運転車、スマートシティ、ヘルスケア、ビッグデータ、ハイパフォーマンス コンピューティング(HPC)、VR(バーチャル・リアリティ)など。

新しい自動運転テクノロジーも初公開する予定。世界初のレベル2+の自動運転システム「DRIVE AutoPilot」などに関する最新情報や、「DRIVE ソフトウェア スイート」の最新の進歩を知ることができる。

メモリーとGPUと混同して狼狽えている場合ではない。私も過去に何度か参加して興奮したことがあるイベントだ。

https://test.fundgarage.com/4422/

 

⑦ Western Digital

NVDAにも関係ある話だが、下記はWDCのWebの記事で、自動運転がどれだけデータストレージのニーズを高めるかという話。

8時間の自動運転で40TBのデータを産み出して消費するというのだから、さてさて、どれだけのストレージ容量が必要になるのだろうか。またGPUサーバーがどれだけ必要かなどの記述もあって非常に興味深い。

https://test.fundgarage.com/4424/

 

⑧ Xlinx

組み込み技術の国際展示会「embedded world 2019」(ドイツ・ニュルンベルク)での同社コメント。

機械学習/深層学習は、学習と推論に分けられるが、Xilinxが注力するのは推論。現在、NVIDIAやIntelなどが開発を加速させ、激しい競争を繰り広げている「AI向けチップ」は、基本的に学習向け。だが今後はエッジでの推論が大きく伸び「当社は、そこを取りに行く」と強調した。

https://test.fundgarage.com/4426/

 

⑨ Applied Materials

インテルが表彰するPQS賞(プリファード・クオリティー・サプライヤー)の2018年の受賞企業として認められた。PQS賞は、アプライド マテリアルズのほか、インテルがその絶え間ない卓越性への追求と確固としたプロフェッショナリズムを備えた事業活動を行う企業を表彰するもの。

こうした情報は実はFacebookから得ることが出来る。私はFacebookをSNSとしてより、こうした情報取得ツールとして使っている。

https://test.fundgarage.com/4428/

 

⑩ Check Point Software Technologies Ltd

https://test.fundgarage.com/4430/