FG Report Premiun 4月22日号

INDEX

所感/雑感

先週(4/15~4/19)は米国市場がGood Fridayのため金曜日が休場となったので日米株式市場の騰落率を単純比較は出来ないが、日本市場だけで比べても、対TOPIXで日経平均株価が2倍以上の上昇騰落率となった。値嵩株が上昇すると、指数の計算方法の関係で日経平均株価は大きく上昇するからだ。そして17日には日経平均株価とTOPIXは揃って年初来高値を更新した。

背景には、まず①中国経済の1-3月(第1四半期)成長率が予想外の底堅さとなったことがある。中国の一連の景気刺激策による効果が表れ、対米貿易摩擦で揺らいだセンチメントの安定化に寄与した。17日発表された1-3月のGDPが前年同期比6.4%増とエコノミスト予想を上回り、昨年10-12月(第4四半期)と同じ成長率となった。3月の工業生産は市場予想の前年同月比5.9%増に対し同8.5%増となっている。小売売上高も市場予想8.4%増に対し8.7%増だ。

更に②ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)が16日発表した4月の独景況感指数の期待指数が3.1と市場予想の0.5を上回り、昨年3月以来のプラス圏に浮上したことがある。

またアップルとクアルコムが和解したことで、市場に安心感が戻ったこともポジティブな要因だったと思われる。

ただその一方で、日本国内は10連休という長期休暇を前に、ポジションをニュートラルにしておきたいと考える向きが多く、来週の市場ではある程度の整理売りが出ることは覚悟しておいた方が良いのかも知れない。

注目の右肩上がりのビジネストレンドとトピックス

アップルとクアルコムが和解したニュースは「iPhoneが5Gへの流れに遅れない」ということを担保したようなもので、これは喜ばしいニュースだと思われる。5Gが「せ~の」で始まる時、iPhone勢だけ様子見とならずに済むからだ。この発表を受けて、インテルは5G用の半導体を作ることから撤退することを決定、ただ実はこれ、インテル株にもプラスに作用したから面白い。

先週から徐々に1-3月期の決算発表などが始まっているが、欧州最大の半導体製造装置メーカー、オランダのASMLホールディングの4-6月(第2四半期)売上高見通しがアナリスト予想に一致したことは評価出来る。 そして同社は最新のリソグラフィー装置(露光装置)をさらに3台受注したことを公表した。前回、データセンタ向けの新しいCPUなどが出てきたことで、半導体市場が動き出すという話をさせて貰ったが、やはりその見立ては間違っていなかったようだ。日本でも東京エレクトロンなどが値を飛ばした。

日本では自動運転レベル3(条件付き運転自動化)を解禁する「道路交通法改正案」が参議院本会議で可決された。今後衆議院で審議が行われる。政府は今国会で同改正案の成立を目指している。

その傍らで、週末には87歳の男性が運転する車が暴走し、また尊い命が奪われた。「アクセルが戻らなかった」或いは「ああ、どうしたんだろう」などとコメントをしていると報道されているが、自動運転システムの内、衝突回避システムぐらいは早期に全車両に装着義務化する位の法改正が必要なように思う。

「アクセルが戻らない」ということは通常では考えられず、「アクセルを戻せなかった」というのが正解だろうと思う。またブレーキを踏んでいる様子が無い。かつて技術者からお聞きしたことだが、「制動力に優る駆動力をクルマは持っていない」という。つまり全力でブレーキを踏んでいれば、仮にアクセルが何かのエラーで勝手に全開に向かおうとしても、減速させ停止させることは可能だということだ。更にシフトレバーをニュートラルに戻せば、駆動はタイヤには伝わらなくなる。そういう方法もある。

クルマがドライバーの何等かの異常や、或いは車両挙動の異変に気が付いた時に、もし上記のような操作が自動で行われれば尊い命が失われるケースは激減する筈だ。国会審議もそういう視点で早く進めて欲しいものだと思う。

株主となってその企業と一緒に夢を見たいと思う会社10選

*上記表について:日本株、米国株からそれぞれ上限を5銘柄として絞り込み、ひと銘柄当たりの投資余力を10百万円として、株数を計算。売買手数料は証券会社によって違うので考慮していない。ビジネストレンドや各企業の状況により適宜入れ替える。ロスカット、益出しルール等の設定はしない。

今週から、MF10Cの個別銘柄の変化率のチャートを、2か月余り経過したこともあり、下記のようにお示しすることとした。点線で日経平均株価とNYダウも示したので、合計12本のラインが混線しており、やや見難い感じは否めないが、その点だけご容赦頂きたい。

ポートフォリオとして運用している訳では無いので、あくまで個別のラインとして動きを示させて頂く。参考にして頂きたい。

個別の企業に関わるニュース・コメント

① 住友電工(F)

黄緑色の線で表されたCompany_Fが住友電工で、ご覧頂ける通り、この2か月間、上に抜ける訳でも下に動くわけでも無く、よく言えば「堅実」であり、悪く言えば「つまらない」
展開の株となっているのは事実。しかし、一方でCompany_Gことデンソーの動きを見て頂きたい。大きな着眼点は同じであり、また一方でPBRが非常に低く割安に放置されていたが、このところ2割近い上昇を示している。特に大きな材料が出た訳では無い。

翻って、住友電工の2018年3月期の一株当たりの純資産は1973.95円で、現在の株価1537円から計算すると、PBRは0.72倍。勿論今期も確りと利益が上乗せされる。じれったくはなるが、株式投資とはある意味「じっと堪えて待つ」というのも重要な要素だと常々考えている。

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② デンソー(G)


上海モーターショー2019ではやはり新しいものが発表された。アイシン精機のトランスミッションとデンソーのインバーターに関するノウハウを融合し、自動車の電動化に必要な駆動モジュールを開発したものだ。製品ラインナップはハイブリッド、PHV、EV、FCVなどあらゆる仕組みの電気駆動車をカバーするとともに、高効率、コンパクト設計と気持ちの良い走りをバランスさせるものばかり。

今後同社は、完成車メーカーのニーズに合わせ、駆動モジュール単体ではなくトータルシステムとして開発を行い、ECUのソフトウェア制御適合までを行っていく。この戦略は、独ZFやボッシュなどグローバルな「メガサプライヤー」がこのところ語っている方針と全く同じ方向性である。ハイテクと呼ばれる分野では日本勢に元気が無い中、自動車分野だけは日本にまだまだ可能性があると言える証左である。

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③ ローム(H)

日経新聞が「ローム、次世代パワー半導体搭載の電源部品を量産」という見出しで、

「5月にも高効率の次世代パワー半導体を搭載した電源部品の量産を始める。月産は10万個で、中国や欧米を中心にロボットなどの産業機械の需要が伸びる地域に販売する。自社で生産するSiC(シリコンカーバイド)と呼ばれる新素材を使った半導体を搭載。設置面積を従来に比べ3分の1に抑えた。電力損失も約3割減らせ、効率的に電圧を制御できる」

と宣伝してくれたことが株価的にも功を奏したか、なかなか日の目を見ずにバリュー株扱いされていた同社株価がMF10Cの日本株5銘柄の中でベスト2にまで大変身。

一時は86%程度まで下落しているCompany_Hがロームである。だがここまで上昇した今でもまだPBRは1.15倍と市場平均並み程度である。市場はどこまでSiCパワー半導体の実力を見極めてくれるだろうか、非常に楽しみである。

https://test.fundgarage.com/4415/

 

④ 村田製作所(I)

Company_Iが村田製作所。住友電工などと同様、未だに華々しい株価の場面を見せることが出来ていないが、安心して保有していられる電子部品企業である。なぜなら、2018年3月期現在で一株当たりの純資産は既に6830円。現状の株価は5981円であり、今期も984円の一株当たり利益を見込んでいることから、かなり割安な状況。PBRで言うなら0.88倍。

同じようにMLCC(積層セラミックコンデンサ)で有名な太陽誘電の方は、2018年3月期の一株当たり純資産が1440円のところ、現在の株価はなんと2708円とPBRで見ると1.88倍。

財務諸表分析をしてみれば、村田製作所が過去8年間は最終赤字を計上したことが無い一方で、同社は11/3月期、12/3月期が共に最終赤字であり、17/3月期も際どいところまで凹むなど、財務の安定性に欠ける。MLCCなどを狙う目線で投資をするなら、財務に安定性のある村田製作所だと私は思う。

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⑤ ソフトバンクグループ(J)

現状、MF10Cの日本株部門トップ・パフォーマーはCompany_Jのソフトバンクグループである。ウーバーテクノロジー社のIPOが果たされれば、筆頭株主である同社の保有株式の価値は急騰する。確かにこうした点が同社へ投資をすることの面白味ではある。

ただ、MF10Cの日本株のひとつとして選考した理由は、勿論高い投資収益を挙げられそうだからということは大きな理由だが、間違いなく孫会長のビジョンに強く共鳴したからというのが偽らざるところである。

同社の決算発表は5月9日、その後に決算説明会が行われる。孫会長がどんなプレゼンテーションをされるか、4月23日に先に行われる日本電産永守会長のプレゼンテーションと並んで非常に楽しみなイベントである。

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⑥ Nvidia(A)

チャートを見て頂ければ明らかだが、122%まで到達してからやや元気がない。恐らく、既報の通り、他社からデータセンタ向けのCPUの投入などの話が喧伝されたので、例えばCPUとGPUの役割分担という理解までされていない投資家から見れば、Nvidiaの一局優位性が失われるのではないかと不安に駆られることも致し方なかろうとは思う。ただそれは大きな間違いである。CPUとGPUは、その役割も、需要も、全く違うものだからである。

一方、中国で開幕した上海モーターショー2019において、ZFの最新自動運転システムにエヌビディアの「NVIDIA DRIVE」プラットフォームが採用されたと発表している。ZF社とは、ドイツのTier1自動車部品メーカーであり、BMWなどのトランスミッションなどを提供している大手である。これはNvidiaの技術的優位性が証明されたということだ。

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⑦ Western Digital(B)

今この分野、すなわちデータストレージの分野が最も賑わっているのかも知れない。次から次へと各社が新製品や新情報を提供している。同社も「AI対応セキュリティやスマートビデオ、最新のエッジデバイス向け高耐久の監視カメラ用途ストレージデバイスを提供」など、新しい情報提供には余念がない。これを受けて、専門メディアが更に突っ込んだ内容の記事を提供したりしている。

株価はエヌビディアが足踏みをしている間も着実に上昇して来たので、MF10Cの第2位となっている。4月29日に決算が発表されるが、WSJの集計が正しいのであれば、下記のQ3の状況ならば上方にブレークする可能性が高いように思われる。

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⑧ Xlinx(C)

24日に決算発表を行う予定。下のチャートを見て貰えば、着実に収益を挙げてきたということをご理解頂けると思うが、期待値が高くなっている分、もし外したらどうしようかと不安になるのは人情というもの。特にネガティブなインフォメーションを入手している訳では無い。

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⑨ Applied Materials(D)

本文でも示したように、欧州最大の半導体製造装置メーカーであるオランダのASMLホールディングの4-6月(第2四半期)売上高見通しが発表されアナリスト予想に一致した。 付け加えて同社は最新のリソグラフィー装置(露光装置)をさらに3台受注したことも公表した。

半導体製造のプロセスには多くの段階があり、それらについては別途レポートを纏めたいと思うが、ASMLがカバーするリソグラフィーというのは、日本語では「露光装置」と呼ばれる部分で微細化が極限まで進んできている昨今においては、ボトルネックに成り易く、更に非常に高価な機器となる。

その分野において、「最新のリソグラフィー装置をさらに3台受注」ということは、明らかにどこか大手の半導体メーカー(想像はつくが)が設備投資を再開した証拠であり、半導体製造装置分野が賑わう事が予想される。楽しみである。

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⑩ Check Point Software Technologies Ltd(E)

現地18日に2019年Q1の決算発表を行った。内容をあらためて同社のIRページにあるWebcastingからマネージメントの生のコメント、及び質疑応答で確認したが、翌日△7.37%もの下落を演じないとならない内容の決算及び次四半期の予想値では無いと思われた。これが無ければ、MF10Cの全銘柄が(為替抜きで)100%越えとなったのだが・・・、残念。

参考までに下に実際の数値、アナリストの予想レンジ、そしてその平均となる市場コンセンサスを示すが、左から4つ目のQ1 2019について、コンセンサスよりは上であり、レンジの上半分の値となっている。これはそもそもCHKP 側が提示していた予想値でも同じであり、違和感のある動きである。

米国市場が休みに入ってしまったので、情報が少ないのだが、現時点では売却するつもりは無い。ただもし必要と判断すれば、サイバーセキュリティ関連のバックアップ銘柄としてはPalo Alto Networks(PLNW)があるので、入れ替えを検討せざるを得ないかも知れない。


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