関連銘柄探しの旅 米国株 ⑤

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今後の技術トレンド、ビジネストレンドを考えると、5G、AI、エッジコンピューティング、自動運転などが注目のポイントになると思います。しかしその中で忘れてはならないのがこの分野です。普及の為のキーファクターといってもよいのではないでしょうか?

半導体そのものを見て、データストレージにも触れ、半導体製造装置と揃えれば、今注目のトレンド「自動車のCASE、5G、IoTやエッジコンピューティング」に絡んで忘れてならないのは「サイバーセキュリティ関連」が重要なポイントと思われます。

今話題の「2016年アメリカ合衆国大統領選挙におけるロシアの干渉」については、いちおう捜査は終結し、大事にはならずに済みそうです。この事の発端は2016年の米国大統領選挙でアメリカ国土安全保障省及び国家情報長官官房が、大統領選挙においてサイバー攻撃による妨害が行なわれていたことを認める声明を出し、更に12月には「ワシントン・ポスト」がアメリカ中央情報局 (CIA) の秘密評価報告書を引用し、「サイバー攻撃はロシア政府機関のハッカー集団によるもので、ドナルド・トランプ側の勝利を支援するものである」と報道したことでどんどんエスカレートしたという流れです。

さてここでのポイントは「サイバー攻撃」。既に米国では陸海空軍、海兵隊に加えて米国サイバー軍まで組織して国防するほど、このサイバー攻撃、サイバーアタックと呼ばれる問題は近年大きな問題となっています。

AI化が進み、クルマが自動運転で走るようになり、IoT化に伴って多くの工場ロボットやセキュリティ・システムがネットワークに繋がるようになれば、このサイバー攻撃をどうやって防ぐかという問題は今更言うまでも無く非常に重要な課題となります。

もし走行中のクルマがハッキングされて、センサーや地図データ、或いはステアリングやブレーキなどをコントロールするECU(頭脳)部分のプログラムやデータが勝手に悪意に書き換えられたら、これは大変な問題となります。

AIがディープラーニングをする中で、その元となる参照物をいじられたり、学んだ結果を変更されたりする危険性だってあります。事態は「エッチなサイトを見ていたらパソコンがウィルスに感染した」というようなレベルとはクリティカル度合いが全然違うことになります。

セキュリティ対策には、多くの人にとって身近な「エンドポイント・セキュリティ」という考え方と、「ネットワーク・セキュリティ」というものと、大きく分けると2種類あります。前者は身近なパソコンやスマホに入れるセキュリティ・ソフトのようなものが代表格であり、後者はデータセンタやネットワーク全体に対するセキュリティ対策ということになります。
チェックポイント・ソフトウェア・サービス社はネットワーク、データセンタ、エンドポイント、モバイル・デバイス対応など、サイバーセキュリティのリーディングカンパニーと言えると考えています。まずはWebページを開いてみます。


この業界は合併や買収が多い分野であり、マイクロソフトなども過去に何度もセキュリティ企業を買収していますが、チェック・ポイント社のトップページにも、クラウド・セキュリティ企業「Dome9」を買収したことが伝えられています。不思議なことに、セキュリティ企業はイスラエルの企業が多いのですが、チェック・ポイントもそうなら、このDome9もイスラエル、マイクロソフトが買収したCloudy社というのもイスラエルです。理由はよくわかりませんが。


そのDome9のWebサイトに行くと、マイクロソフトのAzure、アマゾンのAWS、そしてGoogleクラウドの文字が見えます。すなわち、現状世界の主力のクラウドが利用していることが分かります。AWSは今や米国ペンタゴンも利用しているクラウドサービスですから、かなりな信頼の証と言えます。

あっちこっち探検して回る場所は多いのですが、第5世代のサイバーセキュリティに対する考え方と備えについて、CEOのプレゼンテーションがありました。こんな感じで始まります。残念ながら、イスラエル訛りの英語ですが、充分分かり易いです。


まずはWorld Economic Forumで取り上げられた2018年のGlobal Riskについて話があります。2018年にはCyber Attackは第3位に上昇しています。プレゼンテーションの最初の掴みは、CEOと息子さんがドローンで遊んでいる話から入るのですが、ポイントはここからです。

今までのCyber Attack の第一世代からの整理は非常に分かり易いものでした。それが下の絵ですが、驚いたことに同社の分析によれば、第3世代の脅威についてでさえ未だ半分の企業しか対応しておらず、第4世代については僅かに7%に過ぎません。


しかし、状況は既に第5世代の脅威が始まっていますが、企業のそれは平均すると2.8世代あたりで止まっています。


そして、特にどこの国という名前は出ませんでしたが、第5世代については政府が後押しをしているものがあるということです。サイバーアタック自体の規模が大きくなり、あらゆる方向(ネットワーク、クラウド、モバイル)からなので、それはもう個人レベルの話では無くなっているというのが理由です。これが第5世代の特徴です。


チェック・ポイントは、ソフトウェアだけでなく、ハードウェアとサービスまでワンストップで提供する第5世代の対応策を用意しています。


それは交通システムに必要であり、医療情報や銀行などのシステムを守るためにも有益だと説きます。確かに、下の図の右側の青いサークルの円の中に、今は全てのミッションクリティカルなデータが集まっているのですから。


IoT化が進めば、益々守らないとならないポイントは殖えてきます。それが下の右上のスライドです。


驚いたことに、ある意味では当然なのですが、同社は既に第6世代の段階まで見通しています。それはIoTの時代、NANO AGENTSと称するソフトウェアがあらゆるものにインストールされ、それをAIがリアルタイムで捕捉、コントロールするというものです。今現在の企業のガードレベルは2.8世代程度だというのに、そこまで考えていました。

サイバーセキュリティに関わる企業は他にもたくさんあります。日本企業もあります。ただ私自身は第2世代と第3世代の間ぐらいから同社をウォッチし、サンフランシスコ・ベイエリアにあるオフィスには何度か足を運んでいますが、常に最先端を行っていると思っています。

最後に以前訪問した時に、同社のIR部長が言った一言をご紹介します。これこそが同社のポリシーで、CEOのプレゼンテーションにも、同じ考えが流れていると思いました。

「Mr.大島さん、どんな堅牢な金庫を作ろうと、必ず金庫破りをしようとする奴は居て、必ず金庫は破られる。だからこそ、常に彼らよりも先を見据えた金庫を作っていくことが大事なんだ」

今の同社を見て、安心してMF10Cに加えた次第です。