日本的な感覚ではポテンシャルは評価し難い
日経平均を見ていても投資機会を逸するだけ
先週も日経平均株価は30000円を目前にして一進一退の動き。海外投資家の動きが目立って買い越しでも売り越しでもなくなってしまうと途端に動きが悪くなる。私がいつも気にしているヒストリカル・ボラティリティ(インプライド・ボラティリティの方ではなく、過去の値動きから算出されるもの)もジワジワと低下し、現在は14.2倍。前回この辺りまで低下した(7月中旬)後、月末に向かって27000円台前半まで下落した。ただ現在のHVのレベルでは、急落する予兆までは見つからない。
日本人としては残念ながら、日本市場にとっては非常に重要な海外投資家なのだが、彼らから見ると時価総額でも既に6-7%のウェイトしかない「日本株式市場」なので、現下の状況で二の次、三の次の放置されるのは致し方ない。彼らの目は米国企業の決算、米国FRBの金融政策、当然景気動向にあり、米国企業が決算シーズンであり、今月からのテーパリング開始が決まり、景気を左右するコロナの感染拡大が欧州から再度膨らんできたとなれば本国株でさえ動き辛く、ましてやその先の日本株となれば膠着しても致し方ない。

だが本来はこんな時こそ、どっしり構えて自分のポートフォリオの見直しなどをしたら良いのだが、余計なノイズを発する人も多く、投資家の心は揺れ動くので、何かジタバタしたいと思う投資家も多いようだ。だが私が現役でファンドマネージャーとして数千億円を動かしていた時から、短期のディーリングで大きな利益を挙げた人を知らない。損失が膨らんで火だるまになった人や、ファンドマネージャーなどの職業投資判断者でありながら心身を蝕まれて退場した人はたくさん見た(事実です)が、逆の例は殆ど思いつかない。唯一記憶に残っているのは「J-COM君」と呼ばれた、J-COM株の新規上場時のミス発注に乗じて大金を手にした人が居たというものぐらいだろうか。それだけ「デイ・トレーダー」というのは難しいということだろう。
その傍らで自分でも驚いているのだが、MFCLの前進であるMF10Cのパフォーマンスは基本的に右肩上がりを続け、日米株のインデックスが約4割上昇に留まるところ、既に約2.4倍になっている。等金額投資でBuy & Hold、ビジネス・トレンドの流れだけ確認しておくだけで、この数字だ。MFCLとしてから加えた銘柄を含めると、更にパフォーマンスは向上する。この結果のインプリケーションはとても大きい。一見ズボラな投資スタイルに見えるかも知れないが、そこはご承知の通り、ビジネス・トレンドの動向と決算状況だけは常にチェックは怠ってはいない。基本的に分析に使う情報は「事実」と「数値」。誰かが加工したり、解釈したりしたものはつかわない。私はこれが本来あるべき投資スタイルだと考えているし、逆に言えば、こうする以外に高い投資収益を獲得する方法を知らない。
エヌビディアが時価総額でトップに躍進した
そのMF10Cの中で、2019年2月に選定以来、実に株価が8.4倍にもなったのがエヌビディアだ。そのエヌビディアについて、日経新聞11月19日の朝刊に掲載された「世界の半導体、最高益に」という記事を見て正直私も驚いた。それはいつの間にか半導体メーカーの中で時価総額でトップになっていたことだ。勿論エヌビディアの株価は毎日チェックしているし、それをExcelシートに記録しているので、放っておいたわけでは無い。そして確かに株価が上がれば時価総額も増加するのは単純な算数でしかないだが「どこまで値上がりしたかを強く意識したこと」は無かった。それでも売上規模では約2.7倍、純利益で約3倍のインテルを押さえてトップに躍り出ていたのには、あらためて驚いてしまった。なんと時価総額はエヌビディアの方がインテルの約3.5倍にもなっている。逆に、つい先頃まで「世界最大の半導体メーカーであるインテル」と紹介出来た同社がクアルコムよりも小さくなってしまっていた。下記はその日経新聞の記事に掲載された表だ。因みにこれは数値。

もし日々のノイズに耳を傾ける投資スタンスで居たら、恐らく2019年2月19日のMF10C設定来、インデックスが約4割上昇した傍らで、エヌビディアの約8倍というような成果は勿論のこと、アプライド・マテリアルズの約4倍の投資収益を得ることも難しかっただろう。聞こえてくるノイズに悩まされ、もっと手前で利食ってしまうのが人情だ。だがこの成果を手に入れたのは事実であり、またここまで収益があがると、更に多少の株価のブレは気にもならなくなるというのもご実感頂けたのではないだろうか。チェックすべきは「ビジネス・トレンド」が右肩上がりを続けているかということと、決算内容に不穏な匂いはしていないかという点だけだ。そして約8倍になった今でも、MFCL(旧MF10C)から外すつもりなど全くない。
だが一方で、実はこの日経新聞の表も一種のノイズを提供してくれている。ひとつの問題点は、「半導体メーカー」のリストとしながらも半導体ファウンドリー(生産受託会社)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)と韓国サムスン電子が一緒に扱われている点だ。TSMCは広義で捉えれば半導体メーカーには違いないかも知れないが、付加価値の源泉はその卓越した製造技術であり、エヌビディアやクアルコムのようにIP(半導体の回路設計)で付加価値を付けている企業ではない。
韓国サムスン電子は半導体メモリーは作っているし、TSMCのように受託製造もしているが、同時に多くの家電品や電子部品なども手掛けており、他のリスト銘柄とは相当に性格を逸にする。ご存知のように、半導体の設計から製造までを一貫して自社で全て行っている純粋な半導メーカーは、インテル、テキサスインスツルメンツ、マイクロン・テクノロジーそしてSKハイニックスだ。そしてロジック半導体の代表であるCPUについてはインテルだけであり、後ろの2社はメモリー半導体の会社だ。一方で、エヌビディア、ブロードコム、クアルコム、アドバンスド・マイクロ・デバイスは製造工程を担う半導体工場を持っていない。だからその時価総額はその分小さくて(最低限工場とその設備分の物理的な資産価値は何も持っていない)もおかしくないが、時価総額は寧ろそれらよりも多いのだから時代は変わった。言えることは、この記事を書いた記者は知識が浅いか、何か別の意図があるかということだ。この記事が言いたいことは、見出しから「世界の半導体、最高益に」となって足元は各社凄いよということであり、小見出しにある「需給バランス変調も」という何か些細な警鐘でも鳴らているつもりなのかも知れない。だからノイズなのだ。
これを材料に証券会社の気が利いた営業ならば、手数料稼ぎのために顧客の保有銘柄を一回転させるぐらいのセールス・トークづくりは朝飯前だろう。この記事を読んで「おかしな記事を書くなぁ」と直ぐにピンと来るほど普通の人は半導体について詳しくは無いのだから。更に言えば、この翌日18日に決算を発表したアプライド・マテリアルズ(半導体製造装置世界No.1)は市場予想をビート出来なかったので、金曜日の日本市場の取引開始前からNY市場の引け後取引で8%以上も株価は叩き売られていたからだ。その記事も含めて組み立てれば、私だって一つ二つの回転ストーリーはセールストークとして組み立てられる。ノイズはマジョリティを混乱させるから要注意だ。
エヌビディアも目指す「メタバース」
同社の決算に対する新聞記事のコメントは「エヌビディアが発表した8~10月期純利益は前年同期比84%増の24億ドル(約2800億円)だった。主力のゲームに加えデータセンター向け半導体の販売拡大が続く。仮想世界「メタバース」を作り出すサービスへの注目も高い。ジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は「クラウド事業主や幅広い分野の企業が、エヌビディアの人工知能(AI)技術導入を加速させた」と報じている。
僅かな行数と字数で書くのだから仕方が無いがFacebookが社名変更して「メタ」に変わったのも、この「メタバース」を柱に据えることを目指しているからであり、それはかつてGoogleが社名を現在のアルファベットに変えた時の想いと重なる。Googleのままでは検索エンジンの印象が強く、より広範な現在のビジネス・モデルをイメージさせないからというものだ。
エヌビディアが今でも「主力のゲーム・・・」と評されてしまうのも似たようなものだ。常識的に考えて「ゲーム用途の半導体」を主力とする半導体メーカーの時価総額が、パソコン等のCPUの市場シェアでは今でもまだ7-8割は握っているであろうインテルの約3.5倍というのは不思議だと思わないと、やはりこれもノイズになる。そのゲームというのも、パソコンでのゲームであり、PS5やXBOXなどゲームコンソールのそれはAMDなのだから。確かにエヌビディアの祖業はゲーム用途が多い高精度のグラフィックス処理用の半導体ではあったが、今となってはその用途のウェイトは格段に下がって主力ではない。端的な例が、パソコンで4K、8Kの動画が綺麗に楽しめるさえグラフィックス処理のレベルが上がったからであり、決してそれはゲーム用途とは関係ない。寧ろ、映画等でCGが多用されるようになった背景の方を考えた方が良いだろう。更に昨今グラフィックボードが手に入り難いのは、例えば仮想通貨のマイニング需要が高くなったままだからでもある。残念ながら、エヌビディアのビジネスの本質を理解出来ている人は、証券マンでさえ本当に少ない。
そのエヌビディアが「メタバース」という表現を今回の決算ではポロリと使った。実は同社はVR/AR技術という言い方はかねてよりしていたが、それがメタバースを意味していることを追認しているようなものだ。それならばメタバースとは何かを知っておかなければならない。ただここにも「ノイズ」が既に大量に出回っているのでよくよく注意をしておかないと評価出来ないだろう。
単語としてのメタバースはメタ (meta-) とユニバース (universe) の合成語。単語本来の意味は、インターネット上に構築された仮想の三次元空間であり、利用者はアバターと呼ばれる自分の分身を介して仮想空間に入ることでその世界の探索・他の利用者とのコミュニケーションを図ることができるというWikipediaでも紹介されているものだ。問題なのは、この説明で多くの人にとってイメージ出来るものは、ザッカーバーグがFacebookという名前をメタに変えてまでも目指そうとしている世界のごく一部でしかないということ。下手をすればそのイメージされるものの方が現在のSNSが作り出した世界観よりも小さいかも知れないということだ。
恐らくこれはインターネットが始まった時のインターネットに対する多くの人々の評価に等しいだろう。当初は「ネットワークでパソコンが国境も超えて繋がり、時差も、物理的な距離も無くなる」と言われただけだったからだ。でも時代は大きく変わった。そしてその後に進化した多くのハイテク技術がまた次の世界の扉を開けようとしている。そのインフラ部分でエヌビディアは大きな貢献を果たしそうだということ。Omniverseというプラットフォームを彼らが提供するという。そしてそれは既に動き出しているということだ。
私自身、皆さんにノイズを提供したくは無いので、まずはエヌビディア自身が紹介しているOmniverseについてのWebページをご紹介しよう。大丈夫、ちゃんと日本語で説明されている。ただ日本語ではあるけれど、カタカナ部分は分からないかも知れない。でも動画や画像を見て貰うだけでも印象は変わってくるだろう。
メタバースの可能性
メタバースを単なる「仮想空間サービス(アバターチャット)」だと狭隘に捉えてしまうと、恐らくそのポテンシャルは評価出来ないだろう。日本では「会社に行くことが仕事」と考える文化が根強く、基本的に「成果主義」の欧米型発想とは根本的な発想が違うということを先ず最初に理解しておかないとならない。新型コロナウイルスの感染拡大始まった頃、日本でもリモート・ワークを率先して取り入れたのは外資系企業だった。一方で、外出自粛をどんなに呼びかけようとも、日本ではリモート・ワークが中々普及せずに「上司が出社するから・・・」と日系企業でのリモート・ワークは普及し辛かった。
この考え方のギャップを認識しておかないと、ウィズ・コロナでもポスト・コロナでも、リモート・ワークかハイブリット型か、或いは伝統的な出社型かという議論を含めて「メタバース」の可能性は理解し難いかも知れない。
アルファベット社のピチャイCEOは出来るだけ早期に社員をオフィスに戻したいと思っている1人だ。だがそれは出社することに意味があると思っているわけでは無く、実際に顔を合わせて無駄話などをする中に、新しいアイデアの芽があると考えているからだ。決して「付き合い残業」や「上司が居るから仕方ない」という発想の日本社会のそれとは異なる。だとすれば、リモート・ワークで体現出来ない要素を実現出来るようにするにはどうするかを考えると「仮想空間サービス(アバターチャット)」というのも大きなソリューションになると考えられる。
次にマイクロソフトが解説しているメタバースについて「What is Microsoft’s Metaverse」という動画をご紹介しよう。
この動画の中でもひとつキーアイテムが登場する。それがゴーグルだ。ゴーグルと「手袋」のようなものを装着していると、仮想空間の中に自分が登場し、同じように他人が登場してくる。これは想像でしかないが、現実に存在するリアルワールドと、こうした仮想空間で、誰もが出入り出来る唯一の仮想空間がもし作られてそこを支配するプラットフォーマーが誕生したら、それは大変なことになるかも知れない。もしかすると、ザッカーバーグCEOなどは、そんなことを考えているのかも知れない。
因みに「Oculus Quest 2」というゴーグルをご紹介する。これはなんと「From FACEBOOK」と箱に書かれている通り、現在メタ社が開発したものだ。かく言う私自身、メタバースの可能性についてより体感したいと思い(これが私の従来からの投資判断の基礎である)、「Oculus Quest 2」を37,180円で購入することにして発注した。11月22日(月曜日)には納品される筈だ。下記のリンクはamazonの該当ページにリンクしてあるので、ご参考までに。映画を観る時につかうと結構な没入感があるらしい。
右肩上がりのビジネス・トレンド
アプライド・マテリアルズの決算から
市場を唸らせる決算を発表したエヌビディアとは対照的に、残念ながら、発表直後の時間外市場で株価が8%以上も下落し、結局翌日の本市場で△5.49%の下落となったアプライド・マテリアルズだが、この半導体不足が喧伝される環境下においてなぜ株価が売られたかと言えば、単純に「市場予想に届かなかった」というくだらない理由からだけだ。
同社のプレスリリースから決算のハイライトを拾うと下記の通りとなる。これだけ「Record(新記録)」という文字が並び、四半期売上げは対前年同期比で+31%となっているにもかかわらず、市場は「コンセンサス未達」と称して売りを浴びせた。
- Record annual revenue of $23.06 billion, up 34 percent year over year
- Record annual GAAP operating margin of 29.9 percent, non-GAAP operating margin of 31.7 percent, GAAP EPS of $6.40 and non-GAAP EPS of $6.84
- Quarterly revenue of $6.12 billion, up 31 percent year over year
- Record quarterly GAAP operating margin of 32.9 percent, non-GAAP operating margin of 33.1 percent, GAAP EPS of $1.89 and non-GAAP EPS of $1.94
ならば実際のところ「どの程度市場コンセンサスに届かなかったのか」というと、「EPS of $1.94 misses by $0.02 | Revenue of $6.12B (30.61% Y/Y) misses by $211.38M」でしか無いのだから片腹痛い。
ただ確かに決算説明会の席上で、Gary Dickerson CEOが「Without supply shortages, we estimate that our Q4 revenues would have been at least $300 million higher.(供給不足がなければ、第4四半期の収益は少なくとも3億ドル高かったと推定されます)」と冒頭で言ってしまった上に、来期ガイダンスで締め括る段になっても「We expect supply shortages of certain silicon components to persist in the near term, meaning that we don’t expect to fully meet demand in Q1.(特定のシリコン部品の供給不足は当面続くと予想されるので、第1四半期の需要を完全に満たすことは期待できません)」と言ってしまい「オイオイ」という印象は否めない。いくら「Looking beyond the near-term disruptions, I feel very positive about the future. (短期的な混乱を超えて見ると、私は将来について非常に前向きに感じています)」と付け加えて見てもあとの祭りと言えばあとの祭りである。
しかし、市場予想のコンセンサスをビート出来なかったとは言え、それは微々たる数字だ。更に言えば、その原因はサプライチェーンの目詰まりに起因するものであり、既にドンドン対策は取られている。そして何より重要なことは「半導体自体の最終需要が全く衰えていないどころか、膨らむばかりであり、更に技術のステップアップも加速している」ことを考えると、逆にこれだけの「市場予想未達」で済んだこと自体が凄いことだと思われる。
アプライド・マテリアルズなどの主力半導体製造装置メーカーをカバーするアナリストはかなりWall街の中でも専門性が高い優秀な人達(反対の業種がどこかは伏せさせてもらいます)だが、それでも外野からの分析だ。こういう状況下での「市場予想未達」については、実際は大した問題では無い。だからこそ、翌日の日本市場では東京エクレトロンなどの半導体製造装置メーカーの株価は売られるどころか買われたのだと思われる。
まとめ
ブラックフライデーとサイバーマンデーの意味はご存知ですか?
バレンタインデーに好きな男の子に女の子がチョコを贈るという風習は日本のお菓子メーカーが作り出したものであり、反対もあるべきだということで3月14日にその女の子の気持ちに対して「Yesならばマシュマロを贈る」というのがホワイトデーなるものの起源だと知っている人は案外少ない。
渋谷が大量の人出で大問題になる「ハロウィーン」についても、単なる仮装パーティーとしてこの国には定着してしまった。本当は古代ケルト人が起源と考えられているお祭りであり、カボチャをくりぬいて作る「ジャック・オー・ランタン」は悪い霊を怖がらせて追い払うためであり、「Trick or Treat(トリックかトリートか)」 は11月2日の死者の日に、仮面をつけた子供たちがソウルケーキを貰いに家々を回って、ソウルケーキで亡くなった人を供養するためと言われる。
本来教会で祈る聖なるクリスマスにクリスチャンでも無い恋人同士がホテルでお泊りしたり、その数日後には神道に早変わりして神社に初詣に行く国だからこそだと思うが、最近はこの時期になると、どこのモールに行っても「ブラックフライデー」という看板が掲げられ、そしてネット上では「サイバーマンデー」と安売りが繰り広げられる。だがこの由来を知っている人は案外少ないのにも驚く時がある。
ブラックフライデーは感謝祭(サンクスギビング:今年2021年は11月25日の木曜日)の為に故郷・実家に帰った(日本で言うならお盆休みやお正月のようなもの)人達が、感謝祭の翌日の金曜日に一斉に地元でお買い物をするために、全ての小売店が黒字になる日だから「黒字の金曜日」とう意味でブラックフライデーと呼ばれるようになった。「暗黒の月曜日」と呼ばれたブラックマンデーとは全く関係が無いのは当然だ。そして感謝祭(サンクスギビング)の為に実家に帰っていた人々が職場に戻る月曜日、2000年前後にアマゾンドットコムなどでお買い物をするには、会社の「常時ブロードバンド接続」されているパソコンを利用した方が早いし安いこともあり、「ブラックフライデー」を受けて月曜日に今度はネットで買いもをするからこそ「サイバーマンデー」と呼ばれるようになった。当時、まだ「ダイアルアップ接続」が主流だった米国の個人家庭のラスト・ワンマイルの状況が生み出した現象を譬えたもので、現在のようにどこでもスマホでも、Wi-Fiでもかなりな速度でインターネットに繋がる時代には本来全く関係がない世界観でもある。今の若い世代に「ダイアルアップ接続」と言っても「???」と全く理解されないが、私にとってはあまり古い話に思えないのも事実ではある。
メタバースを正しく理解する
さて、そんなことを感じているからこそなのか、急激に社会のキーワードに躍り出た「メタバース」についても、きっと10年後には当たり前になり過ぎて死語になっているのだろうと思ったりする。今の人達に「ダイアルアップ接続」とか、「ブロードバンド」と言っても理解されず、インターネットはWi-Fiで「そこら中にいつでもあるもの」に変わったのと同じだろう。「メタバース」の基本はVR/AR技術だ。
実はVR/AR技術は既に法人用途ではそれなりに実績を積みつつある。代表的な例がGoogle Glassで現在は「Glass Enterprise Edition 2」呼ばれる第2世代になっている。その眼鏡をかけるとリアルなものに被せるように視界に情報が飛び込んでくる。例えばナビゲーションが実際の景色重なるものや、設計図が横に映って修繕方法が分かるといったものだ。これらが更に磨きがかかって、アバターや仮想世界というようなものとも繋がる。何とも夢のような話なのだが、一番危惧していることはいい加減な情報や誤解が市場を席巻すること。この手の話は過小評価も駄目だし、過大評価も駄目だ。
そういう状況を排除するためにはどうすればいいか。最善策は自分で使ってみること。試してみることだ。使い難いと思うかも知れないし、分からないと思うかも知れないし、或いは無用だと思うかも知れない。ただ自分で得た感触なり、知見なりで判断した場合、それこそが自分にとっての投資価値を見極める一番の早道だ。現在の市場にはノイズが沢山溢れている。後悔しない投資、成功する投資を続けるためには自分自身で使って試してみることが一番だ。
かつて講演会で最後にお年寄りの女性からこんな質問を貰って唖然としたことがあった。それは「ミクシィの株は持っていても大丈夫ですか?」というもの。どう考えてもその方がSNSの走りを楽しんでいるとは思えなかった。恐らく証券マンから上手く勧められて、その後に困ってしまったのだと思った。同じような事例は枚挙に暇がない。だが恐らく「メタバース」は来年の大きなテーマになるだろう。その時、間違った判断をしないで済むためには、多少なりとも自らその世界に飛び込んでみるのが近道だ。さもなくば、その手のものには手を出さないかのどちらかだろう。
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